課題の特定とは、たくさんある問題の中から「いま本当に答えを出すべき問題=イシュー」を選び抜くことです。大きな課題ほど、解決できたときの事業へのインパクトは大きくなります。逆に、解くべきでない問題に時間をかけると、どれだけがんばっても成果につながりません。この記事では、問題解決の名著『イシューからはじめよ』(安宅和人著)をもとに、これからDXやWebマーケティングを学ぶ方に向けて、課題の特定のしかたをわかりやすく解説します。
イシューとは?「解くべき問題」を見極めること
イシューとは、一般的に「課題」「問題」「論争点」を指す言葉ですが、ここでは「いま考えるべきテーマ」という意味で使います。
生産性の高い人は、いきなり作業に取りかかりません。まず「何を問題とするか」を見極め、本当に解くべきイシューに集中します。だからこそ、短い時間でも質の高いアウトプットを出せるのです。つまり問題解決では、答えを出す前に「課題の設定=イシューの設定」こそが最優先になります。
なぜ課題の特定が事業のインパクトを左右するのか
成果は「正しい問題を選べたか」でほぼ決まります。間違った問題を一生懸命解いても、得られる効果は小さいままです。
『イシューからはじめよ』では、価値のある仕事は「イシュー度(その問題に取り組む意味の大きさ)」と「解の質(どれだけ明確に答えを出せたか)」の掛け算で決まると説明されています。やみくもに作業量を増やして解の質だけを上げようとするのは遠回りです。まずイシュー度の高い問題を選び、そのうえで解の質を高める。この順番が、最短で大きな成果を生みます。

💡 ポイント
作業量を増やす前に「どの問題を解くか」を選ぶ。イシュー度の高い問題から取り組むのが、成果への近道です。
イシューを設定する:強引にでも仮説を立てる
イシューを設定するときは、「強引にでも仮説を立てる」ことが重要です。「やってみないと分からない」「だいたいこんな感じ」というテーマの整理では不十分で、具体的な仮説まで踏み込みましょう。理由は3つあります。
理由1:答えを出せるレベルの問いになる
スタンス(立場)が曖昧なままでは、何に答えればよいか分かりません。たとえば「化粧品市場は今どうなっているのか」ではなく、「化粧品市場は縮小に入っているのではないか」と具体的な仮説を立てる。こうして初めて、答えを出せる問いになります。
理由2:必要な情報・分析が明確になる
具体的な仮説があると、「何を確かめればよいか」がはっきりします。集めるべき情報も、行うべき分析も自然に絞り込まれ、ムダな作業を減らせます。
理由3:分析結果を正しく解釈できる
仮説がないまま分析を始めると、出てきた結果が十分なのかどうか判断できません。仮説があれば、「仮説どおりだった/違った」と結果を意味づけでき、次のアクションにつなげられます。
よいイシューの3条件
すべての問題が取り組む価値を持つわけではありません。次の3つを満たすものが「よいイシュー」です。

1. 本質的な選択肢である
それを解決したら、大きな効果が得られるか。事業の方向性を左右するような、影響の大きい問いを選びましょう。
2. 深い仮説がある
スタンスを明確にし、できれば常識を疑う視点を持つこと。「当たり前」をなぞるだけの答えからは、大きな成果は生まれにくいものです。常識を否定してみる、新しい構造を考えてみる。そこに深い仮説が宿ります。
3. 答えを出せる
そもそも答えの出せる問題か。現実的に検証できない問いに労力を注いでも、成果にはつながりません。「解く価値」と同じくらい「解けるか」も大切です。
よいイシューの見つけ方:情報収集の3つのコツ
よいイシューを設定するカギは「情報収集」です。ただし、やみくもに集めればよいわけではありません。次の3点を意識しましょう。

まず、一次情報に触れること。加工されていない生の情報(現場の声や実データ)を自分で確かめます。二次情報は誰かのフィルターを通っているため、偏りが含まれがちです。次に、基本情報を押さえること。市場規模のような前提となるマクロ情報を、漏れなくダブりなく大づかみにしておきます。そして、集めすぎないこと。情報収集の効果はどこかで頭打ちになり、集めすぎると逆に自分ならではの視点が失われ、知恵が出にくくなります。意図的に「ざっくり」で止めるのがコツです。
まとめ
問題解決では、答えを出す力よりも先に「イシューの見極め」が成果を左右します。強引にでも仮説を立て、「本質的・深い仮説・答えを出せる」の3条件でよいイシューを選び、一次情報を中心に集めすぎず情報収集する。この流れを意識して、事業インパクトの大きい課題を特定していきましょう。
Q&A
Q. たくさんある問題の中から、どれを最優先で解けばよいですか?
A. 「イシュー度(取り組む意味の大きさ)」と「答えを出せるか」の両方が高い問題を選びましょう。解決したときの効果が大きく、かつ現実的に検証できる問いが、最も成果につながる優先課題です。作業量を増やす前に、まずこの見極めに時間をかけることが近道です。
