「職業訓練ってどんな制度なの?」「eラーニングコースの1日のスケジュールは?」「実際に職業訓練を受けた人の体験談を聞いてみたい」「訓練終了後に就職はできるの?」と疑問に思っていませんか?
私は失業手当を受給しながら、職業訓練のeラーニングコースでWebマーケティングを学びました。受講生だったときの1日のリアルな様子を公開します。今、職業訓練を受けようか迷っている方の参考になればうれしいです。
この記事では、職業訓練の概要やeラーニングコースのメリットデメリット、体験談(スケジュールや感想)などを紹介しています。
それではご覧ください。
ハローワークの職業訓練とは?
ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)の種類や概要について解説します。
職業訓練には大きく分けて「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つの種類があります。はじめにこの2つの訓練の違いを理解していきましょう。
公共職業訓練とは
公共職業訓練とは、「主に雇用保険を受給している求職者の人が職業訓練によるスキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度」です。公共職業訓練には「施設内訓練」と「委託訓練」の2種類があります。
失業給付を受給していないときはハローワークで相談し、支援が必要と認められた場合に受講できることがあります。
対象者 | ハローワークで求職申込みをしていて主に雇用保険を受給している方 |
コース例 | 電気設備技術、ICTエンジニア、介護サービス、情報、医療、事務等 |
入校時期 | 施設内訓練の主な入校時期4月、7月、10月、1月 委託訓練は毎月 |
期間 | 2ヶ月~2年 |
受講料 | 無料 ※テキスト代等は自己負担 ※1年以上の科目は一部有料 ※eラーニングコースは通信費自己負担 |
給付金 | 雇用保険の失業給付 ※条件を満たせば訓練期間中は継続受給できる |
求職者支援訓練とは
求職者支援訓練とは、「仕事を探している人が職業訓練によるスキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度」です。公共職業訓練との違いは、失業保険を受給していない人でも受けることができる点です。
また、本人の収入や世帯収入、金融資産などの要件を満たした場合に月10万円の生活支援の給付があるのも特徴です。さらに働きながらスキルアップを目指す方も対象となります。
対象者 | ハローワークで求職申込みをしている方 |
コース例 | ビジネスパソコン、Webアプリ開発、OA経理事務、医療・介護事務、Webデザイナーなど |
入校時期 | 毎月 |
期間 | 2ヶ月~6ヶ月 |
受講料 | 無料 ※テキスト代等は自己負担 ※eラーニングコースは通信費自己負担 |
給付金 | 職業訓練受講給付金、雇用保険の失業給付 ※条件を満たせば訓練期間中は受給可能 |
私は雇用保険の基本手当(失業給付)をもらいながら、求職者支援訓練の6ヶ月のコースを受講しました。訓練期間中は失業給付を受給できるので、訓練に集中できました!
公共職業訓練や求職者支援訓練には「通学コース」「eラーニングコース」「通学+eラーニングコース」といったコースがあります。
この中のeラーニングコースについて詳しく見ていきましょう。
eラーニングの職業訓練を徹底解説
公共職業訓練では2017年に、求職者支援訓練では2021年にeラーニングコースが開始されました。これらのeラーニングコースについて徹底解説します。
eラーニングコースとは
eラーニングコースは、全ての訓練をオンラインで受講できるコースです。
eラーニングコースでは「実施日が特定されている科目(対面指導等)」をあらかじめ設定された日時で受講する必要があります。対面指導等の受講を忘れてしまうと修了条件を満たさなくなってしまうため、注意が必要です。
eラーニングコースの受講条件
求職者支援訓練のeラーニングコースは受講できる人の条件があります。ご自身が受講対象者に該当するかどうか確認してみましょう。
受講対象者
- 育児、介護中の方
- 通所可能な範囲に訓練実施機関がない方
- 在職中(雇用保険未加入者)で訓練の受講に当たって特に配慮を必要とする方
自分が対象者に該当するかどうか迷うときは、ハローワークの窓口で相談してみてください。
オンライン訓練に必要な環境
eラーニングコースはインターネット上での訓練となるため、パソコンと通信環境が必須となります。
さらに、Webカメラやマイク機能が付いているPCを必須としている訓練校が多いです。
また、訓練校のパンフレットに訓練に必要なものが記載されているので、確認しておくと安心です。
動画視聴、対面指導などをオンラインで行なうため、通信が切断されてしまうなどの不安定な通信環境は学習の進度に影響してしまいます。eラーニングコースを検討する際は自宅の通信環境を一度確認しておきましょう。
私の場合、スマホのテザリングでは通信が不安定になることがあったため、wifiルーターを設置しました。
eラーニングには例えばこんなコースがある
eラーニングコースにはどのようなコースがあるのでしょうか。コースの一例をご紹介します。
東京都の例
- JavaによるWebシステム開発科
- 基礎から学べるデジタルマーケティング/ デザイン/サイト制作科
- 基礎から実践まで幅広くWebデザイン養成科
- 初心者OK Webデザイナー・Web制作・ Webマーケター養成科 など
オンラインの職業訓練では、PCに関連した訓練が多いのが特徴です。
全国から応募可能なコースもあります!
【体験談】eラーニングの職業訓練生のスケジュール
私はDXアップの「ウェブマーケター・DX人材育成実践科」コースを受講しました。
eラーニングコースを受講した私の1日の流れと1週間の流れをご紹介します。
※職業訓練校によって受講ルールが異なりますので、参考までにご覧ください。
それでは1週間の流れから確認してみましょう。
1週間の流れ
1週間の流れは3つの点を踏まえて決めていました。
- 基本的に訓練は月~金。土日は休む
- 単元ごとに設定されていた締切日を厳守する
- 1週間に1度の対面授業に必ず出席する ※対面指導の日は訓練校から指定されます
私が受講したコースでは1週間に1度の対面授業があり、自宅からオンラインで受けました。
対面指導は枠(時間帯)ごとに、講師1名と5名の生徒で行なわれました。
授業の中では各自課題の途中経過を発表したり、講師から課題のアドバイスをもらいました。対面指導日より前は動画をみて課題を進める、対面指導日より後は講師のアドバイスをもとに課題を修正して提出するといったように、対面授業の前後でやることを分けました。
講師のアドバイスはもちろん、他の生徒さんの課題発表もとても勉強になりました。
私の場合は毎週水曜日に対面指導が設定されることが多かったので、月・火は動画視聴と課題作成、水は対面指導、木・金で課題の修正・提出をしていました。
そして、自宅で受講できるeラーニングの訓練だからこそ、休む日を決めることも重要です。私は基本的に土日は休むと決めていましたが、どうしても課題が終わらないときは土日にも勉強することがありました。
はじめはスケジュール管理に悪戦苦闘。でも1週間の流れができてからは断然管理しやすくなりました!
続いて1日の流れを見ていきましょう。
1日の流れ
日々のスケジュールは9時~16時、10時~17時というように自分で時間を決めて取り組んでいました。
学習をはじめる時間を決めておくのがポイントです!
私は遅くても10:00にはパソコンを開いて学習をはじめることを目標にしていました。
午前中はインプットをメインに午後はアウトプットをメインに進めていました。子どもが小学校に行っている午前中は集中できるので、動画の内容を確認して重要な内容をノートやスプレッドシートにまとめていました。
午後は午前中にインプットした内容をアウトプットする時間にしていました。動画で紹介のあったツールを使ってみたり、動画の内容を踏まえて課題に取り組むなど自分の手を動かすことが多かったです。
正直に言うと訓練がはじまったばかりの頃は、学習のペースが掴めず「締切に間に合わない…」と焦ることもありましたが、流れがわかってくると問題なく進められるようになりました。
次にeラーニングコースを実際に体験してみて感じたメリットやデメリットをご紹介します。
体験してわかった!職業訓練eラーニングのメリットとデメリット
私自身が職業訓練のeラーニングコースを実際に受講してみてわかったメリットとデメリットをそれぞれ3つずつピックアップしてみました。
eラーニングコースの3つのメリット
職業訓練のeラーニングコースの3つのメリットです。
- 通学せず自宅から受講できる
- 自分のペースで進められる
- テキストコミュニケーションに慣れることができる
自宅で訓練を受講できたり、自分のペースで学習を進められる点がeラーニングコースの大きなメリットだと感じました。そしてslack(ビジネス用のチャットツール)や問い合わせフォームなど訓練校の担当者や講師とはテキストでやり取りしていたため、テキストコミュニケーションに慣れることができた点も良かったです。
eラーニングコースの3つのデメリット
次に職業訓練のeラーニングコースの3つのデメリットです。
- 自分でスケジュールを管理しなければならない
- 生徒同士のコミュニケーションは通学コースと比べて少ない
- リアルタイムで質問できる機会が通学コースと比べて少ない
通学コースの職業訓練では日々のカリキュラムが設定されているため、自分でスケジュールを細かく管理する機会は少ないと思います。一方、eラーニングコースでは日々の学習スケジュールは自分で管理することになります。特に必ず出席しないといけない対面指導や定期考査の日程には注意が必要です。
あと、eラーニングコースは通学コースと比べて、講師や生徒同士のリアルタイムのコミュニケーションが少なくなる点もデメリットだと感じました。聞きたいときにすぐに聞けないという環境に慣れるまでは少し時間がかかりました。
【体験談】私がDXアップのeラーニングコースを受講した感想
私がDXアップのオンライン訓練を受講したきっかけ、そして受講して良かったこと、大変だったことを詳しくお伝えします。
DXアップのeラーニングコースを受講したきっかけ
コロナ禍で小学校が一斉休業となったときに育児と仕事の両立が難しくなり、やむなく前職を退職することにしました。
今後は親の介護があるかもしれない…、そう思ったとき「自宅でできる仕事に就きたい」と考えるようになりました。もともとリサーチ関連の仕事をしていたこともあり、Webマーケティングの仕事に興味がありました。ハローワークの窓口でDXアップのeラーニングコースを案内してもらい、「これだ!」と感じてその日に見学会の申し込みをしました。
良かったこと
私がDXアップのeラーニングコースを受講して良かったことをご紹介します。
- Web業界の現役プロ講師から指導を受けられた
- 週1度のオンライン対面指導でモチベーションが維持できた
- Slack、Zoomなどのオンラインツールを使用できた
なんといっても一番良かったことは、Web業界のプロの講師の講義を受けることができたことです。現場レベルの内容や業界のトレンドを知ることができてとても勉強になりました。
そして週に1度のオンライン対面指導は訓練の中で最も楽しかった時間でした。孤独になりがちなeラーニングの訓練では、(オンラインはありますが)リアルタイムに講師や一緒に受講している方と顔を会わせる対面指導はとても貴重な時間でした。
私の場合は在宅(リモート)の仕事を希望していたので、訓練の中でSlackやZoomなどのビジネスツールに触れることができたことも良かったです。
私が受講した求職者支援訓練のeラーニングコース
大変だったこと
一方でDXアップのeラーニングを受講していて大変だったこともあります。
- 課題提出に追われることがあった ※任意課題も提出していたため
- スケジュール管理
私が最も大変だと思ったことは、課題の提出です。
私が受講していたコースでは必須課題と任意課題がありました。私は任意の課題も提出していたため、課題に追われてしまい、気づけば週末もパソコンを開いていることがありました。このときに自宅でできる訓練だからこそ、メリハリをつけることが大切だと気づきました。
そしてもう一つ大変だったことは、対面指導や定期考査などの日程を間違えてしまうと修了条件を満たさなくなってしまうため、正確にスケジュールを管理することでした。
eラーニングの職業訓練に向いていない人の3つの特徴
eラーニングの職業訓練に向いていない人の3つの特徴をご紹介します。
- 対面指導でないと集中できない人
- PCに苦手意識が強い人
- テキストコミュニケーションが苦手な人
ひとつずつ解説します。
・対面指導でないと集中できない人
講師が目の前にいる環境でないと集中できない人は、eラーニングのコースに向いていない可能性があります。なぜなら、職業訓練のeラーニングコースでは一人で動画をみながら勉強する時間が多いからです。
・PCに苦手意識が強い人
eラーニングの職業訓練ではPCが必須であり、PCの設定やトラブルなどは基本的に個別に対応することになります。オンラインの対面授業で音声が聞こえない、保存したはずのファイルが探せないなどが自分でできると安心です。そのため、PCに苦手意識がある人はeラーニングのコースは向いていないかもしれません。
・テキストコミュニケーションが苦手な人
eラーニングの職業訓練では、講師に質問したいときや手続きは基本的にメールやフォームなどから問い合わせることが多くなります。文章を入力するのは面倒くさい、文面では伝えられないという人はテキストでのやり取りを苦痛に感じるかもしれません。
eラーニングの職業訓練に向いている人の3つの特徴
eラーニングの職業訓練に向いている人の3つの特徴です。
- スケジュールやタスク管理ができる人
- オンラインでのコミュニケーションに抵抗がない人
- 特にリモートのお仕事に向けたスキル習得の意識が高い人
それではひとつずつ見ていきましょう。
・スケジュールやタスク管理ができる人
スケジュールやタスク管理ができる人は、オンラインの職業訓練に向いています。eラーニングのコースでは1日単位の細かいカリキュラムは決まっていないことが多いため、「今日は〇〇まで終わらせる」などの管理が必要となります。
・オンラインでのコミュニケーションに抵抗がない人
eラーニングのコースでは講師や生徒同士のコミュニケーションにZoomやGoogle MeetなどのWebミーティングを使うことが多いです。そのため、オンライン上のやり取りに抵抗がないほうがいいです。
・特にリモートのお仕事に向けたスキル習得の意識が高い人
職業訓練は早期就職を目指す制度なので、就職に向けたスキルを習得する意識が高い人が向いています。特にリモートのお仕事に就きたいと考えている人は、訓練を通してWebミーティングなどのオンライン環境に慣れておくことができるeラーニングコースが向いています。
続いて、実際に私が職業訓練を受ける前に準備したことをまとめましたので、見ていきましょう。
【公開】私が職業訓練を受けるまでに準備した3つのこと
私が職業訓練を受講するまでに準備しておいて良かったことを3つピックアップしてご紹介します。
- 職業訓練についての情報収集
- 職業訓練校の見学会への参加
- 面接等の選考に向けた対策
それではひとつずつ説明します。
・職業訓練についての情報収集
職業訓練はどんな人が対象となるのか、どんなコースがあるのかなど基本的な情報から集めました。概要を理解した後、ハローワークの窓口で直接相談したところ、就きたい職業などからどのコースがよいかを一緒に考えてくれました。
・職業訓練校の見学会への参加
ハローワークの担当者から見学会をおすすめされて申込みましたが、結果として参加してよかったです。なぜなら、実際に訓練で触れるツールについて質問できたからです。パンフレットに記載のない内容を直接質問できたり、担当者の雰囲気もわかるので一度参加してみることをおすすめします。
・面接等の選考に向けた対策
eラーニングコースではオンライン選考が行なわれることが多いです。そのため、ZoomやGoogle Meetなどの接続テストをしておくと安心です。
音声やカメラ以外にも照明が暗すぎないか、パソコンの高さなどを調整しました。また、面接で想定される質問(「なぜ職業訓練の中から〇〇コースを選んだのですか?」「前職を退職した理由を教えてください」など)を考え、回答を準備してからセルフ模擬面接で練習しました。
面接が苦手な人ほど準備が大切。私も面接は苦手なので時間をかけて練習しました。
職業訓練のよくある質問
職業訓練に関するよくある質問を3つ挙げましたので、職業訓練を申込み前の疑問を解決しておきましょう。
- 40代、50代、60代も受講できる?
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40代、50代、60代の方も応募することができます。
実際に私が受講していたコースにも50代・60代の方がいました。令和3年度の求職者支援訓練の年代別受講者数の資料を確認すると、40代は全体の21.8%、50代は全体の17.4%を占めています。また、60代以上の受講生も7.6%いることがわかります。
- 授業についていける?
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オンラインのコースでは、講師に質問できる方法(対面授業や問い合わせフォーム等)が設けられていることが多いです。わからないことはそのままにせず、質問をして疑問を解決していくことが授業についていくためのポイントです。
- 職業訓練後に就職できる?
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職業訓練後の就職状況は、個人の経歴や就活の取り組みによって異なります。訓練校によってはキャリアカウンセリングや卒業生のインタビュー動画などのサポートをしてくれることもあります。
早期の就職につなげるためには訓練期間中から就職活動をスタートしておくことが重要です。
各訓練校の就職状況は、職業訓練.com または ハローワーク公式サイトの職業訓練検索の各訓練校の詳細ページからも確認できます。
まとめ
eラーニングの職業訓練は、通学不要で自分のペースで進められる点が大きなメリットです。一方、1日単位の詳細なカリキュラムは決まっていないため、自分でスケジュール管理する必要があること、講師や生徒同士のコミュニケーションが少ない点がデメリットとなります。そして講師とは、問い合わせフォームなどを使ってやり取りすることが多い点も通学スタイルと大きく異なります。
eラーニングコースを体験して、スケジュールは「1日の流れは午前と午後に分けて計画すること」、「1週間の流れは対面指導の前と後で分けて計画すること」がポイントだと感じました。
eラーニングコースの職業訓練生のスケジュールをご覧いただき、通学コースとeラーニングコースのどちらが自分に合っているかを検討してみてください。
\ 応援しています /
何かを新しくはじめることは勇気がいりますよね。
今回の記事が少しでもあなたの背中を押すきっかけとなればうれしいです。